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犬の角膜内皮ジストロフィー(かくまくないひじすとろふぃー)とは、眼球内にある内皮細胞数や細胞自体に問題が生じることにより、角膜実質の脱水性を保てなくなって角膜が混濁してしまう状態のことをいいます。
中年齢で発症することが多く、最初は局所的でも緩やかに全体に混濁が広がっていき、片目から最終的には両目が白濁していきます。
進行すると角膜内の水分留意が水膨れとなり、その水泡が角膜表面に達して破裂すると痛みの伴う角膜潰瘍が形成される場合もあります。
角膜内皮細胞に障害が起きることによって、浸透圧調節機構の破綻が生じ、結果として角膜に浮腫が生じる為だと考えられており、特定の犬種に多く見られることから、遺伝の関与が原因と考えられています。
主な犬種はダックスフンド、チワワ、オストンテリアなどが報告されています。
局所治療では完治できませんが、高浸透圧性の軟膏(5%塩化ナトリウム)を角膜表面に塗布することで角膜内の余分な水分をくみ出すことに役立ちます。
投与回数は症状によりますが、内皮細胞の損失を助長するぶどう膜炎を抑える消炎剤を使用したり、潰瘍がみられる場合は局所抗生物質点眼液を処方することもあります。
また、角膜の水泡や瘢痕形成が頻繁にみられるようであれば、レーザー角膜形成術、加熱角膜形成術が行い、これにより角膜内に瘢痕組織を作ることで角膜表面に水泡が到達するのを防ぎ、新たな潰瘍形成をさせない効果が見込めます。
潰瘍形成が少なければ、犬はより快適で点眼治療の回数も減らすことができます。
遺伝性なので予防は難しいですが、日頃から犬の様子を確認し、異常がみられたら速やかに受診をするようにしましょう。