作成日: 更新日:
目次
犬の網膜萎縮(もうまくいしゅく)とは、目の奥にある網膜が、変性して薄くなった状態を網膜萎縮といい、症状が進行すると失明する可能性もある病気です。
初期段階では視力障害が起こらないため、気付かないことが多いのですが、進行とともに症状が悪化して夜間のみの視力障害から始まり、昼夜問わず視力障害が見られるようになり、末期になると視力が失われてしまうこともあります。
また、犬種によって進行の速さや発症の時期は異なりますが、生後間もなくに発症すると進行が速く、病気の程度も重くなります。
特定の犬種での発症が多いことから、遺伝的要因があるといわれています。
網膜萎縮を発症しやすい犬種は、コリー、ラブラドール・レトリーバー、ミニチュア・プードル、アイリッシュ・セッター、シェルティ(シェットランド・シープドッグ)など、数十頭が明らかになっています。
現在、網膜萎縮に有効な治療法は無く、病気の進行を遅らせるために内科的に投薬を行うことはありますが、効果が見られない場合もあります。
したがって、診断をされたら犬がなるべく不安やストレスの少ない日常生活を送れるように飼い主が生活面で気を付けるようにし、室内のトイレやフードボウルは動かないように固定、障害物は歩行の邪魔にならないように除去し、散歩時には人通りが多くない静かなコースを選ぶようにしてあげましょう。
遺伝性の病気なので、病気自体の具体的な予防策は現在ありませんが、繁殖の際にこの症状が見られた犬を交配に使用しないようにすることが予防に繋がっていくため、しっかり繁殖計画を立てていきましょう。